まず文句から入る昔の上司

 新入社員の頃最も困難な仕事とは、他部署の上司を説得することだった。最初の折衝業務か?見も知らない人にお願いに行くのは不安だ。まず年代の近い先輩にどうしたら良いかを聞くのだが、「それならまず〇〇さんに相談してみろ」といったノウハウ?を聞くことになる。どこにでもハードルの低い上司や高い上司がいる。少しでもハードルの低い、新入社員の話をちゃんと聞いてくれそうな人と話をした方が話が早い。また話を聞いてくれる人というのは大体面倒見も良い。事前に段取りしてくれて物事がスムーズに進む。しかしこういう人は稀で、ほとんどの昔の上司はがんこ親爺で、一発二発嫌味を言ってからしか話を聞いてくれないと相場が決まっていた。まず「そんな話は知らん」とか「今は忙しいから無理」とか「今のやり方で何があかんのや」とかやらない理由をさんざん挙げて、それでもこちらが脂汗を流しながら必要性をこってり説明すると、やっと受けてくれるというスタイルだった。ともかく一発言わないと気が済まないということだった。また挙句の果ては「おまえの部署はこういう話が多いな」とか「おまえではらちがあかん。上司に説明に来させろ」と言われたことも何度もあった。一番酷かったのは、事前に役員から指示された重要事項を丁寧に説明した文書を送ったら、いきなり「おまえが〇〇か?こんな文書だけでわかるか。説明に来い。」と喧嘩腰でどなりつけられ電話を切られた事だった。私も若気の至りで電話の後に約2時間電車に乗ってその人に説明に行ったが、「ほんまに来たんか?」とあきれられた。以後その上司とは大変仲良くなった。昔の男の付き合い方だった。

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