労働災害の経験と安全管理者
会社員時代何度も労働災害にまつわる経験をした。被害者としてまた加害者としてそして安全管理者として労働災害を経験してきた。会社ほど安全ということに高い意識を持つ場所はないだろう。普段の生活の中では災害なんて起こらないように思っているが、工場では日常的に労働災害の危険性が待っている。だからこそしっかりした安全管理が必要とされる。しかし当時の私は安全意識というものが全く欠けていた。怪我なんてドジな人間が起こすだけ、注意すれば災害など起こらないと理由なき自信を持っていた。安全管理というものは管理者の基本中の基本の仕事なので、30代後半には上司より安全管理者の仕事を依頼されたがそのたびに断っていた。元々人に偉そうに教えをたれたり、人の言動を取り締まったりすることが好きでなかった。しかしその後そうも言っていられなくなった。
被害者として私は2回公式?の労働災害を起こしている。1回目は十分な保護具をつけずに刃物を触って切創災害を経験し指先を3針縫合した。2回目は熱風が出ている場所へ飛び込み火傷するという自爆を経験した。明らかに安全意識の欠如と言わざるを得ないが、それでも安全管理者への推薦を断っていた。しかしその後2人作業で相手にハンマーを当て、あわや大怪我になる事故の加害者を経験するに至り、深く反省し安全管理者への道に入ることになった。その後は大火傷で歩行に支障が出た人、機械に挟まれ指を落とした人、12m上の階から落下して即死した人など多くの悲惨な災害に立ち会った。理由のない自信は消え去り、人間はおろかで間違いを犯す存在である事を身をもって感じた。
