イスラム教との出会い

 マレーシア国民の60%を占めるマレー系民族はイスラム教徒で、イスラム教が定める種々の掟はたとえ日系の会社でも邪険にできない。例えばラマダン(断食月)は1年に1回行われるが、この間モスリム(イスラム教徒のこと)は日中一切の飲食物を口にせず作業を行う。またモスリムは勤務中でも金曜日の午後から礼拝に行くことが義務付けられているし、毎日5回メッカの方を向いてお祈りすることが定められている。このため厳密に言えば、モスリムと非モスリムでは、宗教儀式分だけ作業時間が異なることになる。がこれについて会社は云々してはいけないし、モスリムのお祈り室の設置も義務付けられている。イスラムの男は一般的にひげをはやし、女性は髪を出さないようにたばねた上で頭巾のような布で頭を隠す。(中近東のモスリム女性は全身を黒い衣装で包み、眼だけが出るようにした頭巾をかぶっているが、マレーシアはやや緩和された感じである)また飲食物についてもイスラム教は厳しい掟を規定している。まずアルコールを飲むことは禁じられている。(ただこの約束は国外では治外法権のようだ。実際私は大阪に駐在するモスリムの外交官と京都で熱燗を酌み交わしたこともある)また豚を食べることは禁止されており、たとえ牛肉でもイスラムの教えに従って調理されたもの(ハラルと言う)でないと食べてはいけないとなっている。特にこの食文化は他のインド系民族も含めて複雑だ。会社の食堂では毎日チキンもしくは魚肉しかメイン料理として出さない。ヒンズー教のインド人は牛肉を食う奴は悪魔と考え、モスリムは豚肉を食う奴とは同じ部屋にいたくないと考えるからだ。

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