ラマダン

 ラマダン(断食月)は約1ヶ月続く。この間イスラム教徒は日中一切の飲食物を口にすることができない。マレーシアは常夏の国であり、かつ会社は製造会社である。時にはきつい肉体労働をしないといけないこともある。気温が最高に上がる日中のかんじんな時間帯に、モスリムは飲食物を口に入れずに高いパフォーマンスを維持して仕事を行うことができるのだろうか?日本人ならすぐに思いつきそうな疑問点だった。日本でこの問題を議論した。この時の結論は、ラマダンの時でもマレーシア航空は飛ぶではないか?、銀行や役所も開いているではないか?、ちゃんと社会が機能するのだから会社が運営できないはずはない、というものだった。一方この疑問を現地の人に直接ぶつけてみた。現地の人の答えは一様に「大丈夫」というものだった。要は、私たちモスリムは生まれた時からイスラム教の教えを守ってやってきた、したがってこんな試練は毎年のことで慣れている、仕事のパフォーマンスを落とすことはない、という答えだった。いざラマダンの季節がやってきて、初年度はしっかり彼らのパフォーマンスを見ていた。案の定モスリムたちのパフォーマンスは、朝から夕方にかけて時間を追う毎に落ちていった。気持ちの上では大丈夫なのかもしれないが、現実の体力は確実に落ちるということだった。それでもずっと断食しているわけでなく、陽が落ちてから陽が昇るまでは飲食可能なので、この間に体力復帰のための食事をすることになる。その点世界一不幸なのは北欧のモスリムだ。北欧は白夜で、陽が沈んでいる時間は極めて短い。数時間のうちに1日分の飲食を取り翌日に備えるそうだ。

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