酒を飲んでも尊敬される日本人
イスラム教の飲酒禁止は、考えようでは体に良いとも言える。しかしビジネスの場では個人の体調のことなど考えてくれない。少なくとも東アジアの中国・韓国・日本のお客さんの場合、酒席で杯を交わして初めてビジネスパートナーとして理解し合えるというところがある。また欧米社会でも、お客さんとベンダーは友好を高める意味で会食をするのが当たり前になっており、そういった席では多少のアルコールが出るというのが普通である。相手がモスリムであればアルコールなしという席もあるが、大体はモスリムが気を利かせてどうぞ自由にアルコールを飲んで下さいということになる。
会社にモスリムの運転手がいた。彼は安全運転で日本人の営業メンバーに人気があった。そのために彼は営業メンバーの接待の席によく駆り出され、宴席が終わるまで営業メンバーを待って送って帰ることになっていた。しかしお客さんが東アジア人の場合、簡単に宴席は終わらない。一次会が終わると、次はお決まりの二次会でカラオケスナックへ繰り出す。そしてお客さんも営業メンバーも夜半過ぎまで延々と美人のおねえさんとカラオケを歌い続ける。やっと2次会はお開きになり、運転手は酔っぱらってふらふらの営業メンバーを送り届ける。ところが翌日営業メンバーは何事もなかったようにしゃきっとして会社に出勤する。前夜のふらふらの営業メンバーが翌日奇跡の復活をするのを目の当たりにしていつも彼は驚く。そして酒のような邪悪なものを飲むのは感心しないが、それでもほとんど寝ずにまた出社する日本人はスーパーマンだと尊敬の念さえ感じてしまうとのことだった。
