Datoと呼ばれる人たち

 マレーシアは王様が州の統括をしており、いわゆる位の高い貴族のような人たちが存在している。その中でもよく耳にするのはDatoという称号を持つ人だ。Datoは事業や政治活動など民衆のために価値ある貢献をした人の中から選出され、Mr.やMs.でなくDatoと呼ぶ。イメージとしては日本で文化勲章に選ばれるような人たちと似ている。しかしただ名誉職というだけでなく、その立場故にマレーシア内の偉い人たちとネットワークを持っている。また種々の名誉職に就いて収入を得る道を持っている。ある地位以上の政治家はDatoもしくはさらに上の称号であるDato Sriなどを持つ。私の会社でもコンサルタントとしてDato称号を持つ人を雇っていた。通常この人とは月に1回ぐらい会食をして、会社の概要についてさらっと共有するだけだが、もしセンシティブな問題が発生してどうしても社会の上層部のキーマンと話をしないといけない場合、キーマンと会うための依頼をこの人に行う事がある。

 Datoは我々が話をしたい相手がどのような利害関係者と関わっているかを調べて、どういうルートでいけばキーマンにたどり着けるかを知っている。例えば海外で事業を行う上で税制優遇は重要である。しかしこの優遇の多少が上部組織の意向や役所の上長のさじ加減で差が出ることもある。正攻法では日本人がこうした役所の上部組織の長に会うことはできない。こうした不可能な面談をDatoは可能にしてくれる。また我々の会社は20年以上マレーシアでのビジネスに対して膨大な投資を行ってきたが、この投資に対してDato称号を当時の社長が与えられている。

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