京都の楽器店とフルアコ

 楽器店はよく行った。良いギタ-が欲しかったが、なにぶんにも金がない学生だったのでウィンド-ショッピングが目的だった。豊田勇造のアコ-スティックブル-スを聞くとギブソンのハミングバ-ドが欲しくなり、サイモンとガーファンクルの演奏を聞くと、マーチンが欲しくなり、カルロスサンタナを聞くとギブソンレスポ-ルが欲しくなった。ギタ-を買う場合に、京都には楽器屋が4軒あった。クラシックギタ-が中心のG楽器、ヤマハを扱う名門J楽器、プロミュ-ジシャンご用達のW楽器、そして元々質屋であった中古楽器専門のY楽器の4軒。これらの楽器屋を回っては思い悩んでいた。

高校生の時に持っていたのは、母親のヤマハのクラシックギタ-とアリアのフォークギタ-だった。大学生になって最初に買ったのがヤマハのフルアコだった。どうしても将来ジャズを演奏したいと思っていたからだ。友達にJ楽器について行ってもらい、ヤマハは日本品では名門だからと言われ購入した。ところが弦高が高く、また音が悪くすぐに嫌になった。こうしてJ楽器は縁がなかったと他の楽器店を当たったが、G楽器は名前の通り、クラシックギタ-中心で、ヨシヤの中古品は当たりはずれが怖くて買う気がせず、結局W楽器にしょっちゅう通った。しかしこの店もプロご用達で敷居が高く、なかなか試し弾きする気が起こらなかった。その後私は実家から歩いて通えるG楽器で店員として4年ほどアルバイトすることになった。この時にたまたまギルドのフルアコを買いに来た客が買わなかったのを店長から安く譲ってあげると言われて買うことになる。定価32万円が18万円になった。

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