客先でのクレーム処理
会社に入って最初に担当したのは2次加工現場だった。工程は材料を1次加工し易いように変性させる「準備工程」~「1次加工工程」~最終製品の形に変える「2次加工工程」に分かれていた。準備工程と1次加工工程は製品のコストを大きく決める工程で大変重要視されており、従事している人もプライドを持って仕事をしている人が多かった。一方私の担当した2次加工工程は、そういう意味でやや低く見られていて、下請けの従業員が多くまた活気のない職場だった。しかしこの職場は最終工程ということで、お客様の一番近くに位置する職場でもあった。特に製品に問題が発生した場合、どこの工程で発生したかは別として2次加工工程の人が客先のクレーム対応の矢面に立つことになった。お客様は神様であり、入社始めからお客様の声を聞けたことは大変幸運だった。
客先のクレームがまず工場外の営業部員に入る。そしてその内容を聞いて、考えられることをまとめた上で客先に出向く。そして場合によっては小一時間ほどボロカスに怒られるが、ひたすら頭を下げてその場をやり過ごし工場へ戻る。その後原因と対策を考えて再度客先へ行って納得してもらえば、これで一旦処理は完了ということになる。この頃に初めて、原因と対策には「発生した原因と対策」や「社外へ流出した原因と対策」があって、各々を説明できないと納得されないことも知った。またお客様は社内の誰よりも上位にいらっしゃるので、お客様の声を水戸黄門の印籠のように使って仕事ができた。多くのクレームを通じて随分怒られ慣れた?ようにも思う。血気盛んな20代後半に我慢を学ぶことができた。
