資格が給料を決める?
私がマレーシア工場に赴任した頃は、マレーシア社会もかなり成熟しており、給料相場が問題となっていた。例えば学歴、職業歴、資格などで大体の給与相場が決まるようになっていた。すでにマレーシア工場は創立20年を経過していた。勿論古くからいるメンバーの給料はそれなりに上がっていたが、世間の新興企業と比べて決して高い方ではなかった。例えば部署のトップである部門長は、多くの部下の指導育成の経験を持っており、かつ大会社で勤めた経験のある人ほど優遇されるようになっていた。環境プラントに関する深い知識や経験を持っている人は限定された人であり希少価値があった。また高電圧の動力プラントをオペレーションすることができるのは、難しい試験を通り何年かの現場経験をした人しか認められなかった。ある時期からこうした資格や経験を持った人がヘッドハンティングで会社を去るようになるに従い、会社としても給与を世間水準に上げ、他社に逃げないような対策を取る必要が出てきた。しかし私はどうもこの考えには納得できない部分があった。勿論資格がなければその職業に就けないのはわかっているが、本当に重要なことは、資格を持っている人がその資格にふさわしい仕事をするのかどうかという点だった。資格をかさにきて偉そうにしていても、大事な時に力を発揮できるのか、会社に貢献できるようなアイデアを出せるのか、あるいはさらに良くするために種々の提案をしてくれるのかなどを見ないと真の価値が感じられない。私は「結果を出す」ことで給料が上がるべきだという思いがある。「何ができる」ではなく、「何をやれたのか」が重要と思った。
