楽器店でバイト、ブルースを学ぶ

 大学に入り何かバイトをしようと思った。今の時代のようにバイト先をネットで検索したりできるような環境がなく、新聞広告を見たりして探すしかなかった。元々家庭教師を週に1回やっていたが、これだけでは十分飲んで遊ぶことができなかったので、コンスタントに週何日か行くバイトを探していた。そうした中で、家から歩いていけるG楽器がバイトを募集していた。元々楽器店には定期的に通って新しい楽器を物色していたので、それだけでも楽しいと思い応募した。多分時給は当時400円ぐらいではなかったかと思うが、金額以上に楽器に常に触れていられる時間が増えるのが良いと思った。
 G楽器の仕事はシンプルだった。レジにお客さんが来たら、品物を袋に入れお釣りを渡すだけだった。店には古株のバイト店員Iさんがいた。Iさんは私より2才年上で定時制の大学に通っていた。店には自由帳のようなものがあって、Iさんはその帳面に色々書き込んでいた。中味を見たが、専門的過ぎてよくわからなかったので、これは何を書いているのですか?と訊ねた。「これはブルースのルーツについて書いているねん」とIさんは語った。既述のブログの通り、私はブルースという音楽に目覚めてはいた。しかしここまで詳しいことは知らなかった。要はブルースというのは米国南部で生まれた貧しい黒人たちの魂の叫びで、これがロックンロールやロックへ発展し、またジャズなどの原点にもなっているという。また地域ごとにデルタブルース、シカゴブルース、テキサスブルースなど特徴があり、それぞれの地区には何某というアーティストがいるのも知った。

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