ブルーノートでブルースが弾ける
即興演奏、アドリブを勉強し始めた頃に最初に覚えたスケールがブルーノートスケールだった。ブルースを聞くと何となく暗いイメージの旋律を感じるが、これはブルーノートという音が入ってからだ。ブルーノートのキーになる音は3つで、例えばハ長調で言えば、ミとシの♭とファの#にあたる。とりあえずこの音をアドリブの中に入れてギターを弾いてみると、色々なミュージシャンが演奏する感覚が理解できるようになった。これがわかるようになって一瞬自分はアドリブを完全に制覇したと誤解した時期があった。友人と一緒に即興演奏をしてはその広がった可能性を楽しんだ。しかししばらくすると何か違うことがわかってきた。この音だけを使って演奏すると、暗すぎて少し甘ったるいジャズブルースの感じがうまく出ない事をだんだんとわかるようになった。これをどうしたら良いのか困っていたら、楽器店の先輩であるIさんから「君のブルースはマイナーブルースに近いで。もっと温かいフレーズを出したいならメジャーブルースの旋律を弾かなあかんで」と言われた。この一言でそれまで悩んでいた事が吹っ切れたように解決し、アマチュアギタリストとして基本的なものが整ったような気がした。このブルーノートという言葉はどうやらジャズの世界で基本的なものであったようで、世界の有名なジャズクラブや喫茶店でその名称が使われているし、当時のジャズの名盤を生み出していたレコード会社の名前にもなっていた。マイルスデイビス、ジョンコルトレーン、アートブレーキーなどビーバップからモダンジャズへ変わった頃のほとんどのミュージシャンの演奏が揃っていた。
