シカゴのブルースバーの思い出

 アメリカでの初の音楽の体験は素晴らしいものだったが、中でもシカゴでのブルースバーの思い出は特別なものだった。運転手がシカゴのブルースを聴きに行きたい者はいるか?と聞いた。私を含めわずか3人しか希望者がいなかったが、私はブルースに特別な思いを持っていたので、これを逃してはと参加した。バスはキャンプ場から約1Hrかかってダウンタウンへ着いた。降ろされた通りには多くのブルースバーがあり、聞き覚えのある音楽があちらこちらに流れていた。暗闇に慣れてくると、回りはほとんど黒人ばかりで何か危ない場所ではないか?という不安が一瞬よぎった。しかし5時間後に運転手が迎えに来るまで時間を潰さないといけない。ともかくどこかの店に入らなければと思ったが、白人の女性が店の前に立っていた店に決めた。聞くとチャージを先に10$払ってあとは店の中で飲み代を払ってくれとの事だった。白人だと思っていた女性は、よく見ると色は白いが黒人女性のような顔立ちだった。店には私以外は全員黒人の客ばかりで一瞬恐怖を感じたが、これぞ本場アメリカでブルースを聴くのやと開き直って音楽に没頭していった。ステージでは派手な衣装の歌手が左ぎっちょでギターを弾きながらブルースを歌っていた。そのうち1ステージが終わり、歌手が私にしゃべりかけてきた。彼の名前はEddie Clearwaterと言った。シカゴブルースのスーパースターのMuddy Waterをもじったような名前だった。日本ではブルースは流行っているのか?俺のレコードをやるから宣伝してくれとの事だった。最近グーグルで確認したらそこそこ有名なミュージシャンだったようだ。

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