たばこがどこでも吸えた工場現場

 2021年の4月に日本でも受動喫煙防止法という法案が可決され、喫煙者と非喫煙者が混在する公の場で喫煙することが禁止となった。工場で働く喫煙者にとっては長時間の禁煙を余儀なくされ大変な苦痛となることが予想される。しかし私が入社した頃の工場現場はどこでもたばこが吸えた。まず現在のように喫煙率が50%を切った時代ではなく、男性は70~80%の人がたばこを吸っていた。ミーティングでも事務所でもどこでもたばこは吸えたし、一人に一つ灰皿が用意されていて、帰る時には喫煙者は灰皿の後始末をするのがルールとなっていた。私も40代後半で禁煙をしたが、それまではヘビースモーカーで1日に2箱(40本)以上吸っていた。その頃は部屋の中で誰かがたばこを吸っていてもあまり気がつかなかったが、たばこを止めてからはたばこの臭いが気になるようになった。またこの悪習は会社にとどまらず、家庭内にも波及していた。別にそれほど亭主関白というわけではないが、どこの家庭でも旦那さんが家でたばこをふかすのは普通だった。さらに車中までたばこを吸っていた。思えば私の奥さんや子供たちは、20年前までは受動喫煙の嵐にさいなまれていた事になる。今から思うと本当に悪い事をした。喫煙の問題は人間に対してだけではなかった。日本人は年末になると大掃除を行う風習があるが、年末に窓ガラスや置物を手ぬぐいで拭くと手ぬぐいが黄色くなる。これはたばこから来るニコチンの色だと思う。知らぬ間に喫煙者とその家族そして家の居間や寝室は、このようなコーティング?をされ汚れていたわけである。今となると考えられない世界であるがほんの20年前の話である。

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