皆からそっぽを向かれたリーダー

 ある時期会社の命令で若者のリーダーを命ぜられた。職場を少しでも楽しくして皆が辞めないようにしようとするプロジェクトだった。このプロジェクトは工場トップが中間の組織長を飛び越え直接若者グループと話をする形になっていた。若い人の気持ちをトップが直接知りたいということでこうしたレポートラインとなった。ところが今も昔も中間管理職という立場の人は、トップが肝いりでやろうとしていることについて常に知っておきたいと考えるものだ。プロジェクトは職場の若手代表者で構成され、私がそのまとめ役を務め、定期的に工場トップに出した結論を提出していた。しかし問題だったのは、プロジェクトで出された結論がどういう審議をして出てきたものかを中間管理職の人には知らされておらず、結論だけを聞いて色々な妄想をかき立てる管理職の人もいた。議論は主として人間関係の改善が中心だったが、中には人間関係を云々すると好き嫌いの話が出てくる。若手メンバーからは「〇〇さんが嫌い」といった意見がよく出た。そしてエスカレートすると「〇〇さんを辞めさせた方がよい」といった過激な議論にもなった。勿論目的とするものが個人攻撃ではなかったが、職場ではこの活動が人の噂話ばかりをトップへあげつらうプロジェクトであるかのような噂が流れ、参加メンバーが職場で孤立するようにもなった。ついにはトップからプロジェクト中止が告げられることとなった。そしてプロジェクトリーダーの私はそういう立場だったので、管理職全員からそっぽを向かれた。トップの指示というものは透明であり、わかりやすいものでないといけないことを体で学んだ時期だった。

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