マレーシア人はドライ、だけど浪花節も通じる?

 同じアジア人でも違う民族ルーツを持つマレーシア人とは文化的に相容れないものがある。マレーシアで事業を開始した頃はどうやってうまく現地人とやっていけばと思ったものだった。特に社員の定着問題では、マレーシアはまだまだ発展しており、新しい有望なビジネスへ流れていく傾向にあった。彼らを会社に縛り付ける大きなモチベーションはやはり給与等の処遇だった。彼らは常に隣の青い庭を見ており、少しでも給与が低いとアピールを行い、場合によっては密かに転職をたくらむようになる。マレーシア工場が設立された頃は、マレーシアの工業の創成期でもあり人の定着率は極めて悪かったそうだ。それから20年以上経ったが、会社はある意味で成熟期に入ったとも言える。しかしマレーシアの最低賃金は年々上昇し、ITに代表される高賃金の仕事が現れるようになって、新たな定着率低下の危機が起こってきた。まずインフラや環境の特殊業務に携わる人が次々ヘッドハンティングに会い、次に経理や物流のエクスパートが抜けていった。マレーシア工場は周辺の工場と比べても、トップクラスの規模を誇っており、大工場に勤めた経験がステータスになり、転職先の給与交渉でも有利に進んだらしい。勿論会社側も手をこまねいていたばかりでなく、少しずつは処遇の改善をちらつかせて対応していった。しかし新興の企業の処遇にはどうしても勝てない。そして最後の殺し文句は、「誰が君をそこまで育ててくれたんや?」という泣き落としだった。ドライなマレーシア人に本当にこの浪花節が通じたかは?だが、結果的にフロンティアメンバーは残っている。愛社精神?果たしてこうした浪花節がいつまで効くのやら?

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