タクシードライバーとの戦い

 マレーシア工場の駐在員にとって、タクシードライバーとの交渉は戦いだった。日本ではどのタクシーに乗っても同じ地域なら料金は決められており、よほど特別なルートでも通らない限り同じような料金を払うことになる。ところがマレーシアのタクシーの料金メーターはあってもまともに動いていないというものが多く、通常客は乗る際に行先を言って料金がいくらかを交渉する必要がある。ドライバーによって通常0~+20%ぐらいある。0というのは大体現地人が払う金額と考えておけば良い。すなわちほとんどの駐在員は現地人よりも高くふっかけられる。日本人は金を持っていると思われている。
 帰りのバスは6時と7時の2本があるが、残業で遅便に間に合わないと会社の前でカモを待ち構えるタクシーに乗らざるを得ない。高いとはわかっているが、早く家に帰って飯を食いたいので、仕方なしにタクシーに乗ってしまう。しかし日頃からこうした理不尽な価格に腹を立てる駐在員の中には時々ドライバーと徹底交渉をする強者がいる。ある者は過去3ヶ月のデーターとドライバー名を示し、ふっかけられた価格がいかに間違っているかを説明するし、ある者は自分が会社の代表者であるかのようにふるまい、自分にこのような価格を支払わせたら後々大変な影響があるというようなホラをふきながら交渉する者もいた。しかし近年は米国のUberのマレーシア版でGrabというのが出てきた。このタクシーは事前にWeb上で行先に応じた価格が決められており、運転手名もオープンになっており不正が起こりにくくなっている。きっと雲助タクシーも姿を消すだろう。

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