水害でもう一度バンドを1

 最初に結成したバンドは1年間ほど続けただけで解散となった。バンドが初めてという素人メンバーが半数いたが、本気でバンドをやり技術アップをしていくのは困難と悟り、一人二人と去っていった。そしてもうバンドをやることもないなあと思っていたところ、私の心を揺り動かす大事件が起こった。それは1990年9月に発生した台風19号による被災だった。詳しくは別のページでまとめていきたいと思うが、この事件により工場で働く多くのメンバーが精神的にダメージを受けた。工場設備自体は1週間もすると曲りなりに動き出したが、働く人間の心の中はなかなか晴れることはなかった。当時若者のリーダーと自認していた私は何とか少しでも人々が明るくなるようにならないかと考えていた。出した結論は、皆が笑って楽しめるようなバンドを結成する、皆を元気づけるというテーマでパフォーマンスを行う、社員のみで演奏すること、というものだった。前のバンドで一緒にやっていた人にこのコンセプトを話すと快く同意をしてくれた。特に重要なのはフロントメンバーだった。とにかく若くてピチピチした複数の女性が歌って踊るようにしたかった。カラオケでうまく歌う子は山のようにいるが、踊ってくれる女性は少ない。さらにリードボーカルは明るくて楽しい人でないといけない。ある時意を決して目をつけた新入社員の女性にお願いに行った。後で聞くと彼女は「この人昼間から酔っぱらっているのか?」と思ったそうだ。何とか三顧の礼を持って彼女を口説き落とした後、前のバンドで一緒にやっていた女性2名+何人かのバンド経験者を入れてバンド結成にこぎつけた。

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