地域の皆さんとの懇親会
工場のトップを担当した時、毎年5月に地域住民の代表者と懇親会を行った。工場経営において、いわゆる利害関係者からの苦情は場合によってはビジネスの死活問題になる。事実よくテレビや報道をにぎわせる不祥事の中には、利害関係者からの苦情が公になり、工場で隠していた事実が明るみに出るというものが後を絶たない。実際近隣住民の皆さんからは日頃から種々の苦情をいただく。例えば工場の騒音が気になるとか、煙突の煙の色がおかしいとか、工場から変な臭いを感じるとかいったものだ。中には同じ人からばかり苦情が届くので本当に事実なのかと疑ってしまうような話もあるが、ともかく苦情には真摯に対応するという姿勢でやってきた。こういう背景の中で特に工場に近い3地区(昔は7地区だったが少し離れた地区を順次外していった)の町内会幹部の皆さんと定期的に懇親会を持つようにしてきた。お越しいただくメンバーは、町内会長、町内副会長+1(通常会計の方が多い、会計さんは会社から村祭りなどへの援助の窓口になっている)の3名前後で、工場側からは工場長、事務部長、環境管理部長、事務課長の4名が対応した。まず事務部長が一言しゃべった後、工場長が日頃の工場活動への理解のお礼と会社の簡単な情勢の説明を行い、町内会長が懇親会招待のお礼と会社へのお願いなどをしゃべる。そして後はいわゆる酒宴に入る。通常盛り上がると日本酒のご返杯が繰り返されるようになる。こうして酒を飲むことで、工場で万一何か不祥事が起こった場合でも全く知らない間柄でないことから、問題解決に対してもスムーズに進めやすいということになる。
