ホワイトカラーとブルーカラー1
初めて欧米の会社の中に入って仕事をしたが、最も印象に残ったのはホワイトカラーとブルーカラーの違いだった。日本でも労使関係のような使う側、使われる側というのはあるが、露骨に階層差をつけたような欧米流の扱いに驚いた。オランダの会社には社内食堂があり皆が軽食を取ることができるようになっていた。これは大変良いシステムだと思っていたが、いざ食堂へ行ってみて唖然とした。いわゆるホワイトカラーが集まる席とブルーカラーが集まる席とが分かれていた。そしてホワイトカラーの人はどんなに混んでいてもホワイトカラーが集まる席で飯を食おうとしていた。元々オランダの組合は伝統的に強く、会社に対しても激しい交渉を行ってきており、オランダに行く前から聞かされてきたが、この状況を見ればさもありなんと思ってしまった。まず一緒に飯を食えない奴とまともな話などできるはずがないと思い、駐在員は敢えてブルーカラー席?で飯を食えと命じた。ブルーカラーの人も英語は達者でコミュニケーションは普通に行えた。そうこうするうちに段々と日本人の人気が出てきて、現場へ行っても色々話をしてくれるようになった。こんな当たり前の事が何故オランダ人はできないのだろうかと思ってしまった。こういう状況を見て人事担当者が駐在員に感謝の言葉を述べてきた。「日本人が現場の人に声をかけてくれて現場の人も喜んでいる」と。その時私は思わず「ならば何故オランダのホワイトカラーは同じ事をしないのか?」と聞いた。彼は何も答えられなかった。彼は会社の機関紙を作成して社員の融和をアピールする担当なのだが。その後も席割りはあまり変化しなかった。
