赤字と黒字、本社の対応

 私は会社に入社してからのべ30年近い年間赤字を経験した。自慢にも何にもならないが、赤字事業を取り巻く環境については並みの人間よりよく知っているという変な自負がある。赤字と黒字の違いは単に数字がプラスかマイナスかというだけにとどまらない。会社にとって利益を上げることは正義であり、損失を出すことは悪であるという一般的なイメージがあり、社員はそれを共有している。改善を主導されたMさんによれば赤字と黒字は山を通る分水嶺のようなもので、一旦その方向に行くとどんどん流れが増す傾向にある。つまり一旦黒字に変わるとどんどん黒字に、逆に一旦赤字になるとどんどん赤字になる。したがってこの分水嶺を越えられるような作戦を見つけられるかが大事である。まず数字上の変化が見えるが、併せてまわりの味方が変化してくる。典型的な例が本社部門の協力体制だ。それぞれのビジネスユニットは自分たちの部門だけで解決できない問題もあるので、時として本社部門に協力を要請することがある。しかし本社部門はこの要請を受けるかどうかについて冷静に値踏みしている場合が多い。私の部門は赤字であり、会社への貢献という点ではあまりいばれない。こういう部門が本社にお願いしてもなかなか緊急性を持って取り上げてもらえない。「現在〇〇部門の仕事が立て込んでいる」と言われる(〇〇部門とは利益を生む部門のこと)要はおまえらのような儲からない仕事の要請は後回しだと言われているような気がした。事実ビジネスが利益を生むようになってからは全く態度が異なり、実に対応が良くなった。本社も儲かる部門に肩入れして点数を上げたがる。くそっ!

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