改善ストーリーで見栄を切る

 会社の会議で毎回のごとく赤字を攻め続けられた。そして種々の努力といくつかの幸運も重なってついには損益が改善されるようになってきた。しかしそうなるまでの過程においては部門長としては見栄を切らざるを得ない状況が何度も合った。「一体この赤字をいつまで続けるつもりなのか?」とか「その説明では十分納得ができないが?」とか、遅々として進まない損益改善に対して色々な角度から質問がぶつけられた。部門長に成りたての頃は謝ってばかりいた。これは若い頃の経験が影響しており、客先に行って色々怒られるとともかく謝ってその場をしのぐという癖が災いしていたかもしれない。しかし会社のトップは決して私に謝ってほしいと思っているわけではなく、どうやって改善が進むのかを知りたいと思っている。したがって多少不確かな話でも「いつどこで何をどのようにして改善する(いわゆる5W1H)」というストーリーを作り、その実現性をどれだけ自信を持って説明するかに集中するようになった。初めの頃は自信のなさが出て、少し突っ込まれると答えに窮してしまったが、毎回毎回自分がつくり上げたストーリーを信じてその進捗を説明しているうちに、段々と言っている話と実態が伴ってくるようになった。このストーリーを作りそれを実現させていくというプロセスが戦略的な改善なのだと実感するようになった。そしてストーリーには必ず「心の拠り所」がないといけない。改善を進める過程で色々な言葉が自分の中で浮かんでは消えていった。例えば「原理原則に従う」とか「天から囁く声に従う」とか「世の中の流れに沿うことをする」等々。

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