ヘルシーな社食と散歩

 日本やマレーシアの工場には福利厚生の一環としていわゆる社内食堂があったが、欧米にも唯一オランダには社内食堂があった。前述の通りホワイトカラーとブルーカラーの確執で社内食堂の雰囲気はあまりよくなかったので、駐在員には努めて食堂で一緒に飯を食うよう奨励した。食事の献立は分量を選べば日本人にもちょうど良くかつ欧州らしいヘルシーなメニューだった。私がいつも頼んでいたものを挙げると、まずスープだった。スープは薄いコンソメ風のものかローカルフードであるこってりしたスープの2種類があり、私はいつもローカルスープを選んだ。そしてパン類だが、通常私は小さなクロワッサンとサラダを注文していた。がっつりいただく人はハムやソーセージを一杯挟んだサンドウィッチを食べていた。そして曜日によってだが、ローカルフードの人気メニューが2種類出された。一つはニシンのフライでこれをタルタルソースでいただくと絶妙の味がした。もう一つは郷土自慢のコロッケでこれもなかなかいけた。社内食堂は事務棟と工場棟の境界のあたりに設置されていた。赴任した秋から春までは外気温が低く皆食堂内で食べていたが、少し気温が上がってくると日光浴が好きな欧州人は外へ食事を持って行くようになった。外には簡素な木製のテーブルがいくつか置かれており、ここにはホワイトカラー、ブルーカラーがごちゃ混ぜに座ることになった。こういう状況が続くと良いと思った。食後は半分ぐらいの人が川沿いの道を20~30分ぐらいかけて散歩をして工場へ帰ってきていた。こういう昼食でのなごやかな雰囲気になじむにつれ欧州に来たのだなあという思いが増した。

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