夏と冬は大違いの欧米
欧州に赴任したのは9月初めだった。最初はまだ日が長かったが、そのうち日が早く沈むようになった。さらにサマータイムが終わる11月頃には、朝の9時頃にようやく太陽が昇り、夕方の4時頃にはまた暗くなるという日が短い状態になった。欧州に来て最初の頃は色々なことがうまくいかず悩みながら仕事をしていたが、この日の短さがさらに私の気持ちを輪をかけて暗くしていたように思う。何かの本で読んだことがあるが、欧州に駐在する人が感じる悲哀として、秋から冬にかけて赴任するとこの日が短いことで気持ちがブルーになり、仕事から逃避したり場合によっては自殺する人がいるという話だった。確かにそういう気持ちになっても仕方ないような環境が続いた。またせっかく欧州に来たのなら、休みの日には美しい景色を見にドライブにでも行って気を紛らわしたいところだが、右側通行に慣れていない私にとって日が短く暗い道で運転するのは怖い気がしてあまりドライブに行く気分にならなかった。そうこうするうちに寒い冬が終わり春が近づきサマータイムに入ると状況は一変するようになった。まずただでさえ一時間昼が長くなるのに加えて、冬至から夏至にかけどんどん日が長くなる。そしてあちこちで花が咲き始めると、殺風景だった街並みが色づくようになる。そして種々のお祭りやイベントが開催され、多くの人が外に出るようになる。またこのサマータイムの時期に、ほとんどの欧州人はバカンスで3~4週間の長い休みを楽しむ。最も日が長い7月頃はオランダでは夜の10時頃まで明るく、永遠にアルコールを飲んでいられるかのような夜を楽しむことができた。
