腕は悪いのにバンマスの私
性格的に仕切るというのはあまり好きな方ではないが、何故かこと音楽については仕切りたがりだった。そのせいか学生時代以来参加したバンドではいつもバンマス(バンド・マスター、すなわちバンドリーダーのこと)をやる事になった。例えばテクニックを追求するバンドなら、おそらくバンマスは理論・音作り・リズムなどに優れたテクニックNo.1の人がなるのがふさわしいと思う。私の中では集団が作る音楽は、その集団の個性を表すものでなければいけないと考えていた。社会人になってからの私がイメージするバンドは、超ハイテクで演奏するバンドでなく、誰もが馴染みやすくわかりやすい曲をやるバンドだった。例えば歌謡曲を演奏するなら、パフォーマンスが目立つこと・皆がよく知っている曲や笑えるMCが入ることなどを自分たちの個性としたいというものだった。ジャズをやる場合も、まず皆がよく知っているスタンダードを中心とすること、歌い手をメインにする場を設けてメリハリをつけることなどを大事に考えた。そして「皆が知っている」と対象的に、オリジナルのバンドのテーマソングを入れて少しだけ俺たちはこういうバンドなんだと主張することもやりたかった。このように若い人のバンドによく見られるテクニックの追求を最重要に考えなかったので、ある面誰もが参加しやすいバンドでいられたように思う。勿論私自身こういう路線でやることで、低いレベルのテクニックであるにもかかわらず楽しく続けられた。こうやって思うとどこか仕事と似ている。私は仕事でも天才肌でなく、皆と徒党を組んで楽しく仕事をしてきた。音楽路線も同じだっただろうか?
