マイナス20℃なのに雪が降らない
オランダは緯度が日本の北海道とほぼ同じであり冬は猛烈に寒いだろうと予想していた。実際1,2月頃の真冬には外気温はマイナス20℃にも下がり、外を歩くと耳がちぎれてしまうほどの寒風が吹いていた。またこの寒さになると流れのゆるい川などは凍ってしまって自然のスケートリンクができる状態になっていた。こういう季節に私が一番気にしていたのは道路の凍結であった。私は日本の冬に過去数回道路でスピンして怖い思いをしたことがあったが、当然マイナス20℃にもなると道路が凍り付き滑る危険性があると感じていた。また緯度的にも北海道の人ならスパイクタイヤの使用が標準的なものになると思っていた。そこで私は1月頃にはタイヤをスノースタッドレスに代えてもらうよう会社に依頼をした。担当の事務部の人は私の依頼なので対応してくれたが、実際のところ会社でタイヤ交換をするという人は全くいなかった。これは米国時代も同じだったが、彼らはタイヤを交換するという発想があまりなく、通常はオールシーズンのタイヤを着用している。また気候についても、日本のように0℃以下になるとほぼ確実に雪が降ってくるという状況ではなく、風は猛烈に寒いが雪はチラホラ降る程度というのが実際に見た景色だった。結局1年間のヨーロッパの生活で日本のような雪に見舞われて走れないという状況に会うことはなかった。結局私のスノースタッドレスタイヤは一冬の間全く効力を発揮することはなかった。しかし住民全員がこういう常識を持っているので、万一大雪が来た場合には道路は大混乱を起こすのではと思ってしまう。後に米国で大雪が降り高速道路で大渋滞を経験した。
