1mの魚をゲット
労使関係が悪いオランダ工場において、少しでも労使関係を改善しようと私はブルーカラーの現場へ出かけては人々に声をかけていた。そんな中準備工程を担当する若いオペレーターより声をかけられた。「Rainさん、あなたは釣りが好きですか?」と。私は日本でブラックバス釣りに行っていたこともあり、すぐに釣り友になった。彼は英語の発音がよく、英語が聞き取り易かった。聞くと米国人に仕事を教えてもらう際に英語が上達したとのことだった。ある時彼から釣りに誘われた。ターゲットはノーザンパイクという獰猛な魚で、鋭い歯でどんな魚でも一撃で食いちぎってしまうらしい。(米国ではマスキーと呼ばれているが多分同じ魚だと思う)釣りの当日彼の車に乗せてもらってドイツ側へ向けて進んだ。そしてブラウシュタット(英語ではブルーシティー:青い街)という場所で車は止まった。彼は何度も大物を釣り上げており、当日も彼の専用の仕掛けをセットし魚を待った。真冬は釣れれば大物が多いとの事だった。エサはイワシの切り身に臭い粉をまぶしたものを使った。これが一番パイクが好むそうだった。小一時間ほどテントで待っていると突如竿の当たり警報がなった。ここで直ぐに合わせてしまうとすっぽ抜けるようで、約50㎝糸を送ったところで一気に合わせると、今まで経験したことのない強い当たりがあり、約10分ほどのファイトの後1mを越えるパイクが上がってきた。正確に測定すると107㎝の最大クラスのパイクだった。写真をとってパイクを逃がしてやった。翌日現場にでかでかと私がパイクと一緒ににこにこしている写真が飾られていた。生涯初の1mオーバーの魚だった。
