朝礼のネタ
工場のトップをやるようになってから定期的に私の心を悩ませる催しがあった。それは月初めの朝礼であった。まず社長をはじめとする会社トップが最初に訓辞を行い、次に工場の代表者である私が何かしゃべるという流れになっている。朝礼のスペックは会社トップが15分、工場トップが15分の計30分となっているが、大体会社トップの話は長くなり15分を越えるので私は10分程度の話をすることになっていた。この朝礼でしゃべる人は大体300~400名ぐらいの人の前でしゃべるが、この人数を前にするだけで緊張して上がってしまうことがよくある。したがってよほど話の内容を整理して自分の言葉でしゃべれるようにしておかないと、途中で詰まったり緊張で声が出ないようになってしまう。そういう意味で月初めの朝礼の前の1週間ぐらいは気持ちがブルーになった。できれば皆が感動するような話をできれば良いが、そんなネタをいくつも持っていないので時事ネタや会社で問題視していることなどを取り上げてネタにしたりもした。中にはこの月は同じネタと決めて、毎年ワンパターンで同じ話をすることもあった。特に自分の中で皆に忘れてほしくなかった平成2年の水害事故の話と、もう一つ危うく環境問題になるところであった重要な話があったので、その二つについてはまたかと思われたかもしれないが繰り返ししゃべった。工場トップの話は、季節の挨拶~特別ネタ~安全関係とプログラムは決まっており単純化されているが、それでもネタについては毎月悶絶した。朝礼は日本で5年、マレーシアで5年行ったが、何年やっても慣れることはなかった。
