朝礼、あちらとこちらで大違い

 ある時から朝礼をする立場になった。しかしそれまで20数年間の朝礼には特別な思いを持って参加することはなかった。今日は誰が来るのかは気になったが、ほとんど何の期待もしないままに出席していた。それでも管理職になると、会社トップが会社をどのように考えているか程度のことは知っておく必要があると考え、簡単なメモは取るようにしていた。時間帯は朝の8:30からで、聞いているうちに眠くなって思わず意識を失ってしまうこともあった。聞いている側はほとんど緊張感がなく、ともかく座って時間が経つのを待っているという状態だった。ところがこれが朝礼をする側になると状況は一変した。まず朝礼のネタは少なくとも高い席から話をするのに十分耐えうるような内容でないといけないと考え、少なくとも1週間ぐらい前から構想を練って準備することになる。またあまり堅苦しい話ばかりではいけないと、多少ジョークなども交えてしゃべるようなシナリオを考えた。ところがこちらの思惑とは大きく異なり、私がしゃべり出すと最初の数分は起きていた人が居眠りを始める。そして用意していたジョークをしゃべってもほとんど反応を示さない。さらに気を張って起きていた前の席に陣取った管理職までもが居眠りに入るとさすがにしゃべっているのが馬鹿々々しくなってくる。それでも気を取り直して何とか朝礼を終了させると、お情けの拍手がパラパラと聞こえる。こうして朝礼の10数分間は向こう側に座っている人の精神状態と、前でしゃべる側の精神状態が全くかみ合わないうちに毎回終わった。そして可能なら早く朝礼を止めて向こう側に座りたいと切に思ったものだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA