結論を出さない日本人、議論を避ける日本人
欧州で仕事を始めた頃現地トップのフランス人と2つの点でよくもめた。一つは意思決定スピードについてだった。通常欧米人は日常的な意思決定ではスピードを重視する。ところが日本人は必ずしも意思決定は早くない。むしろ彼らから見れば遅い。このフランス人から何度も私に苦情が来た。勿論私の方でも日本へ現地のリクエストということで判断を急いで欲しい旨を依頼するが、日本では明確な判断をしないまま時間が経つことが多かった。最後はフランス人から日本人の意思決定の遅さにダメ出しが出るに至ってこの問題を彼とじっくり話をすることにした。まず日本人の特性として日本人は農耕民族と呼ばれる。一方欧米人は狩猟民族と呼ばれる。農耕民族は1年かけて食料を確保するので、慌てて毎日の生活の仕方を変化させない。一方狩猟民族はその日その日に食べる分を毎日狩りにより調達しないといけない。したがって毎日の行動の仕方は早い判断を要求されることになる。こうした点から、日本人は全体的な方針を決めており、毎日の判断を慌てて行う必要はないと考えるという説明をした。フランス人はこの私の説明を何となく理解したようで、これ以降あまり苦情を言うことはなくなった。もう一つは日本人の議論が曖昧だという点だった。欧米人は議論に必要な場合激しく意見を戦わせる。一方日本人は場の空気を読んで激しい議論を避ける傾向にある。これについても農耕民族は激しい議論による協調関係の悪化を好まないが、これは何が正しいのかをはっきりさせたい狩猟民族の欧米人と相容れない部分があるという説明で一応納得してもらった。異文化コミュニケーション。
