今でこそ当たり前のITツール
買収した欧州の会社で最初に驚いた経営手法は優れたITツールだった。日本人が結構苦労する問題として会議のすり合わせがあった。日程決めのために誰と誰の都合を合わさないといけない、場所はどこにするかなど結構会議開催は労力を使うものだった。ところが欧州へ行くと会議は対面のものはほとんどなく、いわゆるテレビ会議がほとんどだった。テレビ会議ならパソコンか携帯電話さえあれば、相手が何時にどこにいるかは問題でなく、ともかく会議に参加できさえすれば成り立つということになった。実際現地の営業マンはホテルの食堂の片隅などに携帯電話を置き、時差のある地区と会議を行っていたのは目からうろこという思いだった。このITツールにより資料を印刷したりする無駄もなくなるし、高い会議室を借りる必要もなくなった。さらには自宅で仕事をしている人も必要に応じて仕事に参加できる。買収直後は高い頻度で日本とは会議を行っていたが、欧州で習ったこの新ITツールを早速日本へ紹介し、日本でもこのやり方を推進すべきとの提案を行った。ところがこのITツールは5年後に大化けして全世界の仕事に大きく貢献することとなった。2019年の冬から中国武漢発と言われる新型コロナが発生し、ありとあらゆる対面での人の交流が規制されるようになった。まずオフィスにいる人の数が減らされ、多くの人が自宅勤務を余儀なくされた。またあらゆる乗り物に乗ることが規制され、営業マンは出張ができなくなった。また大勢の人間が1ヶ所に集まる朝礼や大会議も規制されるようになった。結果的にこれらの催しはITツールによるテレビ会議が代替することになった。
