バンド演奏の始めと終わり

 私がリーダーを務めたバンドのほとんどでは演奏の開始と終了時にお決まりのオリジナル曲を演奏した。開始は「それではXXXバンドでございます」という内容の曲をやり、客をつかもうとした。終わりは「今日は皆様ありがとう。また会う日をお待ちしています」という感謝を表したものだった。こうした開始と終了にお決まりの演奏をするというのは最近のバンドではほとんど見られないスタイルだが、私はこのスタイルを頑なに守っていた。このスタイルを主にやっているのは、松竹系あるいは吉本系のコミックバンドである。例えば吉本で言えば、フラワーショーやかしまし娘で有名なパターンである。「女3人かしましい。かしましいったら愉快だね」でつかみが入り、「ようこそ皆さまお元気で、また会うその日を楽しみにそれでは皆様さようなら」で終わる。横山ホットブラザーズもこのパターンを使っている。「歌って踊ってリズムショー」というつかみから始まって、最後は「ホットブラザーズ♪♪」で終わるお決まりのパターンがある。子供の頃からテレビでよく漫才を見ていたが、特にコミックバンドはしっかり見ていた。彼らは漫才師には似合わない?最高級の米国製の楽器を持っているし、本気を出した時の演奏は素晴らしいものがあった。上手い演奏で思い出すのは、宮川左近ショーというバンドの三味線弾きの人だった。リーダーの宮川左近がうなる浪曲の後にこの人が弾く三味線は超ハイテクの演奏だった。そしてひとしきり演奏した後で、「私なんでこんなにうまいにゃろう?」というせりふがカッコ良かった。こういう子供の頃の体験が私のバンドスタイルを作ったかもしれない。

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