オンビートとアフタービートの思い出
ジャズのリズムはアフタービートと呼ばれる。例えば4拍子の曲なら、1拍目と3拍目に手拍子を入れるのはオンビートで、いわゆるお祭りや宴会の手拍子がこの分類に入る。ところが洋楽、特にジャズを演奏するようになって、この宴会手拍子はダサいなあと感じるようになった。ジャズの場合は、その逆側の2拍目と4拍目に手拍子が入る。何となく曲にそのまま合わせるのではなく、裏拍子で入れる感じだ。よくジャズの伴奏者が指パッチンでリズムを刻むことがあるが、裏拍子でパッチンを入れると無茶苦茶かっこいい。曲が始まる時のカウントもこの指パッチンでやるのが多い。そしてこんな事を当たり前に理解していたはずなのにあるコンサートで大恥をかいた事がある。それはハーブエリスというジャズギタリストが大阪に来た時のコンサートでやってしまった。この人はオスカーピーターソントリオでジャズギターの巨匠バーニーケッセルの後釜として入った人で、リズム感が良く特に天下一品のブルースの演奏をする人だった。彼がこのコンサートの後半で一人だけでブルースを弾き出した。思わず私はギターの音以外シーンとした会場で、彼の演奏に合わせて手拍子をした。ところが何かおかしいなと思っているうちに、ステージのハーブエリスが手拍子が逆だと言わんばかりに、ギターでリズムを取った。その瞬間ああやってしまったと思ったが後の祭り。私はハーブエリスの名演に宴会たたきで手拍子を取ってしまった。実はそのコンサートに友人も来ていたが、その話をしたら「何か変な手拍子が聞こえたと思ったがおまえか?」と言われてしまった。私の音楽人生の一生の不覚。
