一芸に秀でる会社
私の出向した会社は実に40年の歴史があった。障害者雇用というテーマ1本に絞って40年間活動をしてきた会社ということになる。会社の活動や実績数字を見ていくと、大体の時代ごとの苦労がわかる。最初の20数年間というのは目標が明確でなく、世間で言う「法定雇用率」の達成をしていれば良いと考えていたと思われる。この法定雇用率とは、会社の規模に合わせて雇用すべき障害者労働者の人数と全社員数との比率だった。これが達成できていないと会社はペナルティーとして罰金を支払わなくてはいけなかった。まずはこの数字を達成しようということだった。そしてほぼ20年間はその数字を達成しさえすれば良いと考え、最低限の活動だけが行われていたようだ。ところがトップが変わって方針が変わった。当時社会貢献といえば行政の取り組みに対しての寄付を除けば、営々と継続している活動はこの障害者雇用ぐらいしかなかった。それを見た当時のトップが「世間に胸を張ってやっているといえる社会貢献なら法定雇用率レベルに甘んじることなく例えば法定雇用率の2倍ぐらいの数字を達成してみなさい」という方針を打ち出されたことで、会社の活動に火がつくことになったようだ。そして会社創立30周年からその取り組みに入るが、当初は目標達成のための作戦がない中で強引に数値の達成を行おうとして良い結果を出せていなかった。しかしその後数値達成のための作戦が立てられ、目標数値もクリアできる状況にあった。私はこの頃にきた。障害者雇用という単一のテーマに絞り一生懸命にやってきた会社の生き様を見せてもらった。私自身は皆がすでに作ってくれた神輿に乗るだけだった。
