ここでもWhyから始まる

 これまで旧会社を経営してきた米国人にはプライドがあり、何かを変えようとするたびに強い抵抗を受けた。それはちょうど一対一で対峙して銃を撃ち合うガンファイトに似ていた。よく映画で意見が異なると激しい口論をする場面を見たが、そんな場面が私の目の前で毎日のように展開された。内容は極めて単純なことだった。米国人は長年かけて米国で培ってきたマネージメントを持っていた。そして苦労の分だけ高い正義感があった。ところがこの会社を買収した日本人はより良い実績が上げられるように変えていこうとしていた。米国人から見れば、何故今までこのやり方で良いとされていたのをわざわざ変えないといけないのか理解ができなかったのだろう。毎日毎日がWhy、Whyの連続だった。そして駐在員は下手な英語を目一杯使って一生懸命説明するが、ニュアンスまでの説明が不十分だった。本来日本人も米国人も最終目的はどうやって新会社の業績を上げていくかに力を傾注しなければないはずだった。しかし実際には、日本人駐在員は何とか米国と日本の比較ができるように種々の提案をするのに対して、米国人は激しく抵抗してやりたくない理由を速い英語でまくしたてるというような構図となってしまっていた。新会社がスタートして半年ほどは毎日がこの議論の戦いに費やされた。私自身毎朝5時にはコンドミニアムから車に乗って1Hrぐらいかけて工場まで出かけていたが、また今日も米国人とあの激しい議論をしないといけないのかと思うと、吐き気さえ感じながら車に乗るような毎日だった。そして半年を越える頃コアメンバーのNo.2の製造・技術統括役員が会社を離れた。

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