障害者に悪いことをした
障害者雇用の会社に入って一つひどく反省しないといけないことがわかった。私は国内の一つの工場に30年近く勤めていたが、勿論その当時から構内で障害者の人が働いているのを知っていた。しかし当時私は障害者の人に話しかけることはしなかった。その理由は、彼らは健常者とうまくコミュニケーションが取れないのではないかと思っていたからだ。したがってもし私がしゃべりかけても相手がうまく私のことを理解できずにコミュニケーションがうまくいかないと障害者の人を傷つけてしまうのではないかと思っていたからだ。ところが障害者雇用の会社に入って、障害者の人と話をすると彼らの会話能力は私が想像していたよりもはるかに高いレベルであった。そしてその時つくづく思ったのは、こんな事ならもっと早くに話しかけて障害者の人のことをちゃんと理解しておけば良かったということだ。そしてこれを機に私は工場を回る日は障害者中心に声をかけることをモットーにしようと心に決めた。まずは双方向の会話が取りやすい挨拶から始めた。そして「おはよう」と言うよりも「〇〇さん、おはよう」と相手の名前を呼ぶことに力を入れた。健常者でも障害者でも同じだと思うが、相手が自分を認識しているというのは嬉しいと思うと思ったからだ。それと可能な限り工場へ行く頻度を多くして、「たまに来る特別の人」から「よく顔を見る人」に格上げしてもらう努力を行った。そんなこんな努力をしていき、ほとんどの障害者は私の事を覚えてくれるようになった。彼らを知るのが30年遅れたことを反省しながらこの活動を行い続けた。
