綾戸智恵という人
綾戸智恵という人のライブ演奏を聴いて驚いた。ジャズのような難解な音楽を演奏する人にも笑いを取る人がいるのだと思った。しかも彼女の声はジャズやブルースの魅力で一杯だった。何故こんなふうに音楽を難しく語らず、ユーモア一杯で歌えるのかと一気に惹かれた。そこでこの人の略歴をウイキペディアで調べてみた。大阪市阿倍野出身で子供の頃からジャズに魅了され、高校卒業と同時にアメリカへ渡った。ロスアンゼルスのライブハウスやゴスペル教会でゴスペルを歌っている時に黒人男性と結婚して1男をもうけるが、男性のDVが原因で離婚をする。そして34才に日本へ帰ってしばらくアマチュアとして活動するが、42才の時に正式にプロとしてメジャーデビューして皆に知られるようになった。彼女は私より一つ下だが、私の高校生の頃は若者文化と言えばアメリカ文化であった。私も大学の2回生の時に一人旅をしてアメリカを見に行って、日本で見るアメリカと同じようなアメリカ、全く違うアメリカを見たが、その頃に彼女はアメリカに生活拠点を移し、そこでアメリカ人になってがんばっていたのだ。よくアメリカ人と話をすると、アメリカ人の気質は大阪人の気質に似ていると思うことがある。例えば行列を作って何かを待っていると、アメリカ人は隣の見も知らない人にすぐ話しかける。日本人はあまりそういうことはしないが、大阪人は数少ないアメリカ人気質を持っていて、すぐに隣の人に話しかけ、かつ必ずジョークを入れる。綾戸智恵の演奏を聴くと随所に大阪弁とジョークが入る。まさに大阪人である彼女がアメリカに行って自ら融合させたジャズを演奏しているのだと勝手に納得してしまった。
