W兄弟のお兄さんの死
私が50代前半の頃、学生時代に親交があったW兄弟のお兄さんが亡くなったとの知らせが来た。通夜は式だけは参加しても良いとのことだったので、慌ただしく着替えをして京都へ向かった。私が京都を離れたのは25才なので、30年近く経っていた。W兄弟の弟さんは相変わらず長髪で、少し髪が白くなっていたが昔の風貌は残っていた。聞くとお兄さんは癌で何度か入退院を繰り返していたとのことだった。とにかく飄々としていてギターが無茶苦茶好きで、時間があれば誰かの弾き方のコピーをしていたお兄さんだった。あまり我を張ることもなく、皆が新たな音楽をやろうというと一番に馴染んで入り込む人だった。私と弟さんが3才違いなので、お兄さんとは4~5才違いだと思う。お兄さんは享年60才以下でこの世から去ったということになる。彼は親から仕事を引き継いだ中小企業の社長だったが、そのせいもあって多くの高級楽器を買っていた。彼の49日に一緒に追悼ジャムをやらないかと言われたが、仕事の都合で結局行けなかった。そしてそれから10年国内で仕事が忙しくなり、また海外へ行ったりしているうちに、電話番号や住所もわからなくなってしまった。先日京都へ行った時に、昔バンドで通ったお兄さんの家あたりを訪ねたが、面影がなくその地域はすっかり違う景色となっていた。無邪気で自由奔放なお兄さんとはもう会えないし、私の歴史から京都の一部が消え去ってしまった。
