弱者が弱者をいじめる実態

 私の入社した障害者雇用の会社には200名弱の従業員がいたが、その中で障害者は90名弱だった。この障害者に「何で困っているか?」という質問をすると、ほとんどの場合「職場内で嫌なことを言われたりされたりした」というものであった。いわゆる「誰々ちゃんが嫌い」という話が色々聞こえてきた。これは何も障害者だけに起こることでなく、健常者の職場で一番困っている問題は何かと聞いても、ほとんどの人が人間関係と答えるのではないだろうか?ただ障害者の人は健常者の人よりも精神的に不安定で、他人の言葉をうまく受け流したりすることができなかったり、より他人の言葉をまともに受けとめてしまうのではないかと思われる。また健常者なら嫌なことを言われても一旦自分の頭の中で納めて相手ともめないようにうまく言葉を選んで返すが、障害者の場合はより過剰に反応するので一旦もめるとしばらく尾を引くことが多くなるとも思われる。一方本来障害者の人を支援すべき立場にある健常者の中にもメンタル面で課題を抱えているような人は、障害者との関わりの中で揉め事をうまく処理できずより問題を大きくしてしまう場合も起こる。こうして障害者同士、障害者とメンタルの弱い健常者の間で「弱者が弱者をいじめる」という構図が職場に多く見られるようになってしまっていた。この会社の40年間の歴史の中で約10年間障害者の定着率が極めて悪い時期があったが、この原因もこうした問題に起因するところが多かったものと思われる。

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