弱者のための仕事を本体で生かせないか?
障害者雇用の会社に出向したが、問題は障害者よりむしろ健常者の中に多く存在した。出向をしてくる健常者の多くに、メンタルをやられた人が多く見られた。会社としては障害者に100%傾注したいが、実態はこの「心の弱い健常者」のサポートに多くの時間を費やす必要がありかなりの負荷になっていた。一般に子会社に出向する理由は2つと考えられ、一つはある年齢まで親会社で仕事を全うして次のステップとして定年まで子会社でもうひと頑張りする人で、もう一つは親会社で仕事をする間に親会社での業務に精神的に負担を感じて続けられなくなり子会社へ出向せざるを得なくなった人だ。後者のタイプの人は、叱咤激励を受けて仕事をさせられることに強い精神的ダメージを感じており、子会社に出向してもそうした精神的な悩みを引きずったままでいる場合が多かった。こういう人たちは健常者メンバーから見れば「障害者を支援する」ための健常者として仕事をお願いしないといけないし、一方障害者の人から見れば健常者として色々な相談にのって欲しいのにあまり信頼ができない人ということになる。しかし考えてみれば、ビジネスに対してどんどんプレッシャーがかかるような時代になっており、こうした「精神的な弱者」がどんどん生まれてきても何の不思議もないような気がした。逆に言えば、障害者だけでなくこうした「精神的な弱者」全般を救えるような何かの仕組みがこれからの企業には必要ではないかとずっと思っていた。こうした「弱者救済」についての使命について幹部の人と何度も話し合ったが、子会社故のインフラの弱さからとてもそこまではという結論で終わった。
