駐在員は何をするの?という質問
米国の会社を買収して数ヶ月経った。駐在員と現地役員は毎日喧々諤々の議論をしていたが、ある時現地の米国人社長からとんでもない発言が出た。「現在米国には日本人は5人いるが、彼らは一体どういう仕事をしているのか?」という発言だった。要は新しい会社になったとはいえ、やっている事は何も変わっていない。その中で日本人は何かこの会社の中で新たな取り組みやアイデアを提供してくれたのか?という疑問だった。そしてもし日本人がこの会社で学ぶつもりで来ているなら「研修生」としての位置づけで良いのではないか?という意見だった。それでなくても会社は黒字基調ではなく、少しでも費用を下げたいのに駐在員の費用は決して馬鹿にならないものだった。この意見は我々駐在員からすると想定もしていない質問だったが、彼らの立場に立てばそういう意見があってもおかしくないと感じた。一方米国人が言うように、新たなアイデアや技術を米国に持ち込むことは日本本社からは止められていた。米国は人の入れ替わりも激しく、下手に技術を教えるとそれがすぐに同業他社に伝わってしまうのではという心配もあった。また日本本社はもっと米国のことを知りたいので毎日のように矢継ぎ早に質問が飛んでくる。米国人からすれば「質問ばかりで何もしない日本人」に見えたかもしれない。その時私は「もしあなたたちが言うように日本人が日本流のやり方を米国に導入したらどうなる?おそらくパニックになるだろう。今はお互いのやり方の違いをすり合わせるためにknow each otherしている。新しい取り組みはそれからだ。」と答えた。米国人は果たしてわかったのかな?
