毎日現場を回る

 米国に行っても私の仕事のスタイルは変わらなかった。現場へ行って何か変化がないか見て現場の人と話をして帰る、このスタイルだった。多分日本人にはこういうスタイルで仕事をする人が多いと思うが、立場上CEOである私のような人間がこういう仕事を行うことは米国人では考えられなかった。基本的にCEOというのは机の上で、あるいは高い立場の人と話をした結果に基づいてある判断をして、それを指示してやらせ結果を見て次の手を打つという仕事のスタイルをする。そして私のように現場の人と話をして、場合によっては意見を採用するというボトムアップのスタイルではなく、ほぼトップダウンで「私は指示する、あなたは行う」というスタイルで仕事を行う。ボトムアップもトップダウンも双方に良い点がある。ボトムアップの考え方を実施すると、現場で起こっていることが反映され、現実と大きく逸脱することがない。また現場の意見が採用されるもしくは意見を聞いてもらえるので、現場の人の賛同が得られ易く、現場の人が興味を持って仕事をしてくれる可能性が高い。しかし現場の問題や苦労にとらわれ過ぎて、逆に物事の本質から遠ざかったその場しのぎの結論を出す懸念もあった。米国の場合、現場とトップとははっきり立場の差があり、トップはより正しい成果を出すために高い給与をもらっていると考え、そのプライドを持って色々な方向から考えて結論を出す。それだけに結果に対する責任は重く、また自分がどうしてそういう結論を導いたかについても明確に語ることができた。ある面日本人は「皆で考えた」ことで、失敗した場合の言い訳にしているかもしれない。

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