Sidewinderという曲

 学生時代の頃、半分寝ながら聞いて忘れられない曲になった曲があった。それはクイーシー・ジョーンズ楽団が演奏する「サイドワインダー」という曲だった。8ビートのリズムアンドブルースの曲だが、その時は寝ても覚めても歩いていてもそのリフが忘れられないようになってしまった。またブルースかと笑われそうだが、この曲はブルースとかジャズとかの枠を超えていた。このサイドワインダーというのは、アメリカの砂漠にいるいわゆるガラガラヘビのことらしい。何となくこれでもかこれでもかと追いかけてくるガラガラヘビのイメージが湧いてくるような曲だ。この曲はクイーシー・ジョーンズが作曲したものではなく、原曲はリーモーガンというトランぺッターが作曲した曲である。確かに原曲も良いが、クイーシー・ジョーンズ楽団の演奏は、延々と続く憂鬱な感じのリフが、私にとって二度と忘れられない曲にさせた。この時代ジャズはほとんど4ビートが多く、8ビートの曲を聞くと田舎っぽいリズムや旋律の曲が多かった。ちょうど初期のロックンロールがいかにも4ビートの演奏をむりやり8ビートに直したように聞こえたのと似て、ロックファンからは芋っぽい演奏と言われたものだった。しかしこのサイドワインダーは違っていた。トランペットが繰り出す音のつながりは、機関銃の射撃のようにとどまることがなかった。クイーシー・ジョーンズは原曲を持ち上げる天才だとこの時に思った。

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