アメリカ人になる1
米国に赴任してしばらくすると、本気でアメリカ人を納得させようと思うならまず自分自身がアメリカ人と同じことができないと説得力がないと思うようになった。そしてまず見かけや行動において「アメリカ人になる」ことにトライしようと思った。何をやればアメリカ人らしいのかはよくわからなかったが、まずアメリカ人のあの大量の食事が食えないといけないと思った。そして目標として挙げたのは。「16lb(ポンド)のステーキを食う」だった。16ポンドというとg換算で720gに相当する。日本で大きいステーキと言えば、大体200gだが、これはポンド換算では4.4lbしかない。実際に米国に来て、職場のみんなと一緒に食事に行くと、女性は最低6lb、男性は10lbのステーキを頼んでいた。日本人が皆最低サイズの6lbステーキを頼むと、それは女性や子供サイズだと笑われたので、仕方なく8~10lbぐらいを頼んだ。驚いたのは米国のステーキは赤身が多く、日本の和牛のようなさしが入った肉はほとんど見られなかった。そのため肉をそこそこ食べてもお腹が一杯にならず、10lbぐらいならそれほど苦労なく食えることがわかった。同時に日本では大人になると、肉はくどくて多く食べられないと思っていたが、赤身の肉なら食えることがわかった。通常のレストランの大人サイズの最大級のステーキは大体16lbだった。実際会社のメンバーの中にはこのサイズを頼む人がいた。それ以降、私は体調が良ければ皆の前では「アメリカ人に負けたらあかん。今日は16lbでいく」と言って笑いを取りながら大きなステーキを頼むようにした。しかしこのおかげで帰国後しばらくメタボで悩むことになった。
