嫁いだ娘と会う

 米国に赴任したかった理由の一つはアメリカ人の家庭に嫁いだ次女と会うことだった。実際娘がその2年前に日本で結婚式を挙げてから全く彼女に会っていなかったのと、先方の両親がわざわざ日本での結婚式に出てくれたのに、私がアメリカに行かないのも失礼だと思っていたからだ。ところが赴任が決まって場所を調べてみて驚いたのは、あの広いアメリカでたまたま私が赴任する予定のアメリカ南部の中規模都市は、娘が住む場所と車でわずか20分しか離れていないことだった。本来なら長い距離を車で走るか飛行機で近くまで飛んでからレンタカーで会いに行くしかないというように考えていたが、これなら簡単に会うことができると思った。何と言う運の良さかと思ったし、多少無理して米国駐在を受けて良かったと思った。また少し娘が精神的に弱っているという情報も入っていた。旦那さんが結婚してすぐに重い病気にかかり、仕事をやめて入退院しているということだった。正直な所娘も慣れないアメリカでの生活に加え伴侶の病気が重なり、相当精神的に疲弊しているような感じだった。さらに彼女は元々日本でも免許がなく、旦那さんが入院している時は3匹の猫と一緒に一人で家に暮らしていた。私が行ってからすぐに旦那さんは長期の入院に入り、結果的には彼が入院の間私が娘の心の悩みを聞くことになった。また私自身も久しぶりの娘とのデートは楽しかった。私は結果的に1年半程度米国に滞在したが、その間に旦那さんは病気から完全復活してくれた。正直一時は最悪のことも考えたが良かった。思えば私の米国駐在は、疲弊した娘を勇気づけるために行ったようなものだった。

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