アメリカ人と心を通じ合う

 米国駐在してNo.2の役員が会社を辞めた。彼自身が高年齢であり、日系会社のマネージメントに納得できなかったのが理由と考えられた。新たなNo.2を選出が必要となった。No.2役員に要求される要件は物づくりに精通し、かつ3つの工場の生産を安定/向上させることであった。そういう意味で私ともう一人の日本人現地役員はある現場の製造部長を推した。米国人社長から推薦された人は設備に精通した別の人物だったが、生産を向上させる能力という点では未知数だった。ただ序列から見てその人がNo.2にふさわしいという判断だった。日本人の推した候補者は以前日系会社の仕事も経験しており、日本人との仕事にも慣れており、またアメリカ人独特の明るさで現場をぐいぐい率いていく雰囲気を持っていて現場リーダーとしても好ましい印象だった。早速その人へNo.2昇進への打診をしてもらったが、その時は即答でOKという返事だった。こうしてようやく新しいNo.2人事が決まった頃、現地で私の帰任の発表がされた。その数日後にこの新しい役員より辞任したいという話が出た。突然の事で理由を問いただすと、「実は自分は現在の処遇に満足していないが、あなたがトップをやるならと会社に残る決意をした。あなたが会社を去るなら私も去りたい」との話だった。ともかく彼を離す訳にはいかないと、最後は彼と奥さんの2人を呼び出し、飯を食って翻意を試みた。しかし彼の決意は変わらなかった。最後に「あなたが上司で良かった」というメールをもらった。心は通じ合えたが結果は残念だった。

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