企業戦士ライブその2

 こうして企業戦士ライブという催しが行われた。たかがアマチュアバンドの合同コンサートと言えばそれまでだが、演奏する側としては少しでもお客さんより良い評価を受ける演奏というものをやりたいと思うものだ。私はこの点に関して絶対的な自信と戦略を持っていた。私はすでに学生時代のテクニック一辺倒の考えから外れて、「皆が楽しく喜んで見てくれるステージに徹する」という考え方で進める気持ちになっていた。しかし集まった他社のメンバー達を見ていると、腕では絶対に負けないという野心?がありありと顔に浮かんでいた。そうかこいつらはテクニックで勝負しようとしているのだとわかった。勿論我々のバンドは最低限のテクニックは必要としても、見せる聞かせる部分はフロント女性陣の踊りやMCによる笑い、そしてバンドマン全員がステージで見せるライブパフォーマンスと決めていた。もしこれがテクニックと考えると、いかにうまくかつ間違えずに演奏するかばかりが先に来て、ステージを楽しむかどころかむしろ憂鬱になってしまうところだ。こうして演奏を失敗しない、うまく見せるという部分を外すと、むしろ吉本風のお笑い芸をいかに見せるかというような気持になり、練習も大いに盛り上がることになったし、実際のステージでもお客さんから笑いと感動を取れたのではないかと勝手な自負を感じることになった。実際8バンドは各々キャラクターの違う演奏が行われたが、私の考えではお笑いの点では私のバンドが一番であったと思ったし、他バンドからの評価でもそういう意見を聞くことができた。

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