Jxxちゃんの死
40年勤めた会社を離れ、ややのんびりとアルバイトをしながら過ごしていた頃、前の会社からある女性の死去の連絡が入った。彼女は私が欧州勤務であった時に、オランダの工場部門で工場長秘書をやっていた女性だった。彼女は有能な秘書だった。まず英語力は英語のうまいオランダ人の中でも飛びぬけており、オランダ人特有のなまりもなく(Gはフ:Fと発音するなど)、正確な文法と発音で通訳をしてくれていた。一般に欧米のトップ秘書は事務処理能力が高いのは当然で、さらに客先の接待や要望に対しても的確な対応ができたし、我々日本人との難しいコミュニケーション上の問題をオランダ人と日本人の間に立って対応してくれていた。したがって妙齢の女の人にちゃん付けは良くないかもしれないが、好意を持った言い方で日本人はJxxちゃんと呼んでいた。また私のように出張が多く、日本、他の欧州の国、そして米国などルーチンでない出張を繰り返すケースに対しても、どのように対応すれば良いかを判断して、推奨される提案をしてくれていた。そして私が欧州から離れて米国へ行くことになり、最後にお別れのパーティーを行う際は、普段は日本人が入れないような気の利いた場所を予約してくれた。そんなJxxちゃんなので、日本人のファンが多く彼女の死を悼む声が多く寄せられていた。しかし欧米特有のリストラの際に、彼女は会社から離れることになりしばらく消息がわからなかったが、彼女の旦那さんとも家族ぐるみで付き合っていた日本人のコーディネーターを通じて彼女の訃報が伝わった。良い人は早く亡くなるという話は日本だけじゃないのか?
