もう見ないアンダーテーブルの交渉
マレーシアにいた時、先輩から昔はアンダーテーブルでの交渉があったことをよく聞いた。アンダーテーブルの交渉というのは、お金で色々な不都合な事を解決することだ。例えばスピード違反などで捕まった際、交通警官に対していくばくかのお金を払えば違反を免除されたという。こういう類のアンダーテーブルな交渉は開発途上国ほど顕著に見られるものだが、先輩がいた1990年代から私が駐在した2010年代にかけて状況は大きく変わったようである。こうしたアンダーテーブルは主として警官や官庁のハンコを押すような人たちが多く、権限がそこそこあってかつ給料が低い人がこういう悪習に手を染めていたように思う。その金額はコンプライアンス違反をしているにもかかわらず大変安く、50~100リンギット(日本円で1500~3000円)だったそうである。こういう事をやる低級?国家公務員の給料が当時は1500リンギット(45000円ぐらい)だった事を思えば、彼らにしてはそれなりに良い小遣い稼ぎだったのかもしれない。私自身は一度だけ空港でいちゃもんをつけられた事があった。マレーシアで短期応援3ヶ月を終えて一旦日本へ帰国した後、改めてマレーシアを訪問した時、仕事が終わって日本へ帰る際にKL空港で短期ビザが切れているといういちゃもんを付けられた。何度説明しても納得せず、飛行機出発40分前になり、お金で解決しようかと思ったがすでに両替して少ししか手持ちがなかった。仕方なく「私は日本の著名な会社の要人だ。今から会社へ電話するが、君の名前を教えろ」と半分おどして何とか開放してもらえた。
