欧米人の仕事の辞め方

 アメリカへ駐在した際、重要メンバーの退職を何回か経験した。M&Aにより買収した会社だったので、上位の重要メンバーの中には日本のやり方に納得できず会社を去ることになるメンバーもいた。勿論日本の会社もこうした問題を事前に考慮しており、「1年間新会社に残って貢献してくれるなら特別なボーナスを与える」というインセンティブも準備していたが、そのインセンティブにもかかわらず会社を離れる人もいた。その中でNo.2に相当する人が最初に辞めた。この人の辞め方には特徴があった。M&Aが終わって新会社がスタートしてからは種々の運営の仕方で現地メンバーとやり合っていた。毎日毎日がストレスと緊張の連続で、会社に行く前は吐きそうな気分で車に乗ったものだった。しかしこの思いは現地のトップクラスも同じだったと思う。自分たちがせっかくつくり上げてきた会社のやり方を日本人が壊していくことに我慢ならなかったのだろう。No.2の人も最初は日本人と喧々諤々の議論をしていたが、その後あまり逆らわなくなった。そのうち日本人の駐在員から「ちょっとおかしいですよ。彼のオフィスから奥さんの写真がなくなりました」という情報が入った。ほとんどの欧米エリートは自分のオフィスに奥さんや子供の写真を貼っている。(ちょっと日本の会社のトップには考えられないが)そのうち写真以外に色々なものが彼のオフィスからなくなっていった。これはもう間違いなく辞めるだろうと思っていたら、案の定No.1の人を通じて彼の退職届が伝えられた。

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