主婦の争い

 結婚してから60才ぐらいになるまでは家庭の主婦たちは戦いの場に身を委ねているように思える。旦那さんの出世とか給料のことでいつも他人と競い合うし、子供の成績や入学学校のレベルの高さで他人と競うし、ローンで購入した車や新築住宅で他人に対して見栄を張っていなければならないらしい。勿論男も多少は競争をするが、それは出世ぐらいに限定されており、女性社会のように何でもかんでも比較し競争するということはない。したがってこういう年代の女性同士が話をしているのを見ると、言葉の端々にどことなくギスギスした感じが漂う。表向きは和気あいあいに付き合っているように見えるが、内心は負けるものかと闘争心一杯で毎日を暮らしている。私は団地に住んでおらず直接そういう場面を見ることは少なかったが、団地で暮らすと同年代の夫婦や子供がたくさんいてこうした争いを目の当たりにするようだ。私が唯一そういう感じを経験したのはマレーシアへ駐在した時だった。マレーシアは比較的治安が良く、ほとんどの駐在員は家族帯同していた。私はアラ60で駐在したが、ほとんどの駐在員は30~40代であり、まさにこの戦いの真っただ中の年代だった。マレーシアには日本人学校があり、駐在員の子供は同じ学校に通う。したがって成績の上下で競争が始まる。また駐在員の奥さんは昼間暇ですることがないので、習いものをしたり買い物を楽しむ。そして少しでも人より楽しみを多く見つけて他の駐在員の妻より優越感に浸ろうとする。ところが戦いのない60代になると急に顔が柔和になり良いおじいさんとおばあさんになるから不思議だ。

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